
2025.7.25
公募による若手クリエイターのレーザーマッピング10作品を上映決定!
映像やアート業界を志す若手クリエイターに創作・発表の場を提供することを目的のひとつとして、大阪・関西万博のテーマ『いのち輝く未来社会のデザイン』に基づき、『いのち』『未来』『輝き』から連想する映像作品を公募しました。
この度、映像表現の未来を切り拓く29歳以下の若手クリエイターや学生など全国からエントリーした30組(個人・チーム混合)の中から10作品が選ばれました。どの作品も、レーザーマッピングという限られた表現手法や技術的制約の中で創意工夫が凝らされた力作です。どの作品も、視覚的な美しさだけでなく、作品のコンセプトや物語性にも重点が置かれ、若手クリエーターの発想力と挑戦心を感じられる内容となっています。
進化し続けるレーザー技術を活用し、大阪から世界へ発信するアートを、さきしまコスモタワーという巨大なキャンバスに映し出します。圧倒的なスケールの舞台で、新たな映像表現の可能性に挑戦した若手クリエイターたちの作品をぜひご覧ください。
▼「SAKISHIMA LIGHTING ART」公募作品について
■作品上映期間 2025年8月1日(金)~10月13日(月・祝)日没以降~23:00
(雨天決行、荒天の場合、中止することがあります。)
■上映場所 さきしまコスモタワー(大阪府咲洲庁舎)北側外壁の一部
■公募結果概要 エントリー数 30組(個人・チーム混合)総勢61名
平均年齢21.2歳(17歳から26歳まで)
■公募選出上映作品 10作品(各作品 30秒~1分) ※上映順。作品詳細は下記の通りです。
※「作品名」/チーム名またはクリエイター名(所属)/活動地域/メンバー名(一部非公表)
「ひとつの光」/Nakata Ritsuki(株式会社ファンテックス)/大阪府/中田 理津己
【コンセプト】
母親の心音を参考にしたリズムを取り入れ、無数の可能性の中からひとつの命が生まれてくるまでの物語を描いています。また、丸・星・三角・四角の図形に、やさしさ・輝き・成長・安心の願いを込め、生まれてきた命がそのように育っていくことを願って配置しました。
【選定コメント】
心音のリズムに合わせて動く柔らかな線が心地よく、命の誕生というテーマが繊細かつ丁寧に表現された作品。色の使い分けやアクセントの動きにも工夫が見られ、視認性にも優れている。グラフィックとストーリーが調和し、非常に美しい映像表現に仕上がっている。

「めぐる」/SHADECOR(関西学院大学)/兵庫県/
末廣 大樹・中島 希天・岩崎 蒼汰・青山 千夏・瀬川 湧斗
【コンセプト】
一滴の雫が旅をするように、水は姿を変えながら世界を巡り、生命を育み、やがてまた雫へ還っていきます。 この作品では、水の循環が織りなす生命のつながりと、終わりなき自然のリズムを光にのせて表現しました。
【選定コメント】
一滴の水から広がっていく様子を通して、生命の起源やつながりを描いた作品。建物全体を効果的に活用し、独創的な演出が随所に見られる。 ”しずく”をキャラクター化した表現も印象的で、観る者を物語の中に引き込む力がある。

「光種」/EruNohA(大阪電気通信大学)/大阪府/石田 実蘭
【コンセプト】
命を象徴する球体が、細胞分裂のように増え、流れを生み出し、未来社会へと向かっていく様子を直線の多い図形で描きました。全体は一度は解け、再び積み上がり、また球体(命)を生み出すことで、いのちの循環と再生を象徴しています。
【選定コメント】
カラフルな線が建物全体を覆い、色の変化とともに表現が移り変わっていく様子に、視覚的な楽しさがある。球体を中心に据えた“いのちの循環”というテーマも明快で、メッセージが直感的に伝わってくる。

「リンネ」/スピーカーガール(熊本デザイン専門学校)/熊本県/
澤 一喜・藤林 るな・押川 知佐・田頭 政典・松島 遙音
【コンセプト】
「未来を構成し形作るもの」をテーマに、命の循環を流動的に表現しました。飛行機雲を心電図に見立て、命の鼓動を表し、また、生命の起源を海と捉えて波の動きと重ね合わせました。「命あること=動くこと」と捉え、人が波に乗ったり歩いたりする動きを通じて表現。生命の姿をプリミティブなキューブに落とし込み、繁栄と連続性を象徴しています。
【選定コメント】
冒頭の心電図の線が、有機的に変化していく流れが心地よく、構成にはオリジナリティがあり、印象に残る仕上がりになっている。レーザーの特性を理解したうえで制作されており、技術的な適合性も高い。

「Text on the walls」/Kentaro Tanaka(Hand.Inc)/東京都/田中 健太郎
【コンセプト】
建物の壁面に映し出される言葉は、都市の記憶や人々の声を可視化するメディアとなる。日常の中に埋もれた思いや、言葉にならなかった感情が光として浮かび上がり、空間に新たな意味を与える。プロジェクションという一時的な手法で、壁はスクリーンから語り手へと変容し、都市と対話する場を生み出す。「Text on the Walls」は、言葉が空間を照らし、沈黙に意味を与える詩的なインスタレーションである。
【選定コメント】
蔦が絡み合うようにデザインされたフォントが、建物全体をダイナミックに彩り、遠くからでも印象的に映る演出が魅力的。シンプルかつ力強い表現は、高いメッセージ性を感じさせる。建物のスケール感や、どこからでも視認できることを意識したアプローチは、プロジェクトのコンセプトの観点から評価できる。

「脈 -myaku-」/Kenan(熊本デザイン専門学校)/熊本県/
相藤 陽菜・岩岡 伶奈・九郎丸 実奈・本多 美翔
【コンセプト】
手を流れる血管をなぞるように水が伝い、雫が波紋を広げ、そこからツタが誕生し手に絡む様子から、自然との一体感を描いています。血管・水脈・ツタなど、脈から連想されるモチーフを、有機的な曲線で生命の流れを表現しています。人と自然が互いに繋がり合うことで、未来を豊かにしたいという想いを込めています。
【選定コメント】
建物に現れる巨大な手の演出が非常に印象的で、構図としての面白さもある。人と自然のつながりを静かに語りかけるような表現が心に残り、シンプルな構成ながらコンセプチュアルな作品となっている。

「emotion」/キタモト カイト/埼玉県/北本 楓斗
【コンセプト】
感情とフォルダーをテーマに、命、人生、未来、感情を紐づけた作品を制作しました。命は人生そのもので、未来にも感情はある。生きる中で感情は付き纏うもので、今この瞬間もさまざまな表情が色んな場所で生まれています。 フォルダーというものは、感情や経験の積み重ねが反映され、その人の人生そのものだと思います。
【選定コメント】
建物の全体を大胆に使ったダイナミックな構成が印象的。シーンの多彩な展開によって観る人を楽しませる作品。大きなスケールの動きが随所に盛り込まれており、構成のメリハリが感じられる。

「Geometric life」/鯉獅(有限会社 キャンプライズ)/京都府/
【コンセプト】
「ひとしずく」の生命から紡がれる物語。この世に誕生した新たな命は、それぞれの人生を歩んでいく。出会いを繰り返し、また、さまざまな分岐点に遭遇し、選択を迫られる中で、やがて、大きな渦となり幸せの絶頂を迎える。しかし、終わりの時は近づき,やがて始まりと同じ「ひとしずく」へと帰っていく。
【選定コメント】
図形や線を巧みに組み合わせた表現が印象的で、建物全体を活かしたシームレスかつダイナミックに展開していく演出は、作品全体としての統一感とリズムの良さが際立っている。レーザーの特性をよく理解し、幾何学的なラインに加え、工夫を凝らした線の使い方がなされており、繊細でレーザーらしいグラフィック表現も魅力的。

「つながり」/designing plus nine/神奈川県/谷 千波・本多 晃大・齋藤 岬
【コンセプト】
暗闇から誕生する一つの生命が困難を乗り越えて鮮やかな輝きを放つ。その美しい光に惹かれ、他者が集い、その絆は生命の輝きを増していく。そして、そのつながりは新たな生命へと受け継がれる。世代を超えて紡がれる絆が、地球上すべての生命の未来を希望の光で照らし続ける。
【選定コメント】
人生の中で生まれるさまざまな繋がりを、美しいモーショングラフィックスを用いて丁寧に描いた作品。建物の構造を効果的に活かし、レーザーの特性も十分に理解した演出が展開されており、映像表現としての完成度が非常に高い。

「いのちのバトン」/アートサイエンスチーム「HIMMY」(大阪芸術大学)/大阪府/
南 颯・安井 光・三宅 創士・濱田 知足・飯坂 江梨夏
【コンセプト】
命の源である水から生物が生まれ、力強く躍動しながら連綿と続く命のバトンを繋ぐ様子を表現しました。 水滴から生まれた細胞は分裂を繰り返し、命の象徴たる円が様々な動物へと受け継がれていきます。そして命は人間の手によって宇宙へと無限の広がりを見せ、やがて愛へと変化します。この作品から未来への可能性を感じてもらえれば幸いです。
【選定コメント】
動物や人が建物を動き回りながら、命のバトンをつないでいくストーリーが、温かみのある表現で描かれている。建物のファサードの特徴を活かしたダイナミックな動きも効果的で、作品全体に豊かな広がりを与えている。

■上映スケジュール
【日没以降~23:00】
– 大阪・関西万博のナショナルデー*に合わせて国旗をイメージしたライトアップ【5分】
– 季節ごとに演出が変わるレーザーマッピングによる光のアート【3分】
〈投影スケジュール〉
「春:Birth –誕生-」4月13日(日)~5月31日(土),10月1日(水)~13日(月・祝)
「夏:Radiance -輝き-」6月1日(日)~7月31日(木), 10月1日(水)~13日(月・祝)
「秋:Transition -遷移-」8月1日(金)~10月13日(月・祝)
– 万博カラーをイメージしたレーザーマッピングによる光のアート【2分】
– 公募で選出された10作品のレーザーマッピングによる光のアート【10分】
〈上映順〉上記のとおり
の計20分間の演出を繰り返し上映。
*ナショナルデーについて https://www.expo2025.or.jp/events/